登場人物紹介


古語において「うきよ」には二つの意味がある。
一つは、「つらい世、無常の世」としての「憂き世」。
一つは、「楽しい現世、享楽的なこの世」としての「浮き世」だ。 <全訳古語辞典 旺文社>
きらら浮世伝には、後者の意の「うきよ」があてられている。
しかし、主人公・蔦屋重三郎を初めとする、多くの登場人物は「つらく、無常の世」を生きた。
  「つらさ」でいえば、私達現代人も同じだろう。
過度に情報化した社会で、小さな画面に「人の影」を見て安心する私達は、十分に「憂き世」のつらさを味わっている。
この演劇に、私達は、<人間>を見る。
そして、彼らがどうして「憂き世」を、「浮き世」と呼び、強く生き抜けたかを知る。


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蔦屋重三郎

俺はなァ、捨てようったって
捨てきれねえような、
ボロボロになっても
とっといて貰えるような、
最高の錦絵、世に出してェんだよ



版元。




勇助

当たり前だ!俺の絵は良いんだよ。
それなのに…なんでこんなにいい絵が
世に一枚も出てねェんだ!!



浮世絵師 北川豊章。後の喜多川歌麿





お篠

だけど重三さん、
私はやっぱりお篠です。
どんなに嘘をついたって、
私の目には
やっぱりあなたが見えるんです



一途に重三を想い続けている遊女。



恋川春町

大丈夫だよ、
悪いことばっかりじゃねェ。
自分で決めたことだ。
胸はって堂々と歩いて行きな。



戯作者。武士。本名倉橋格





大田南畆

切羽詰まった余裕のない戯作なんてのは、卑しくて私は大嫌いだ



狂歌師・戯作者。通称、蜀山人(しょくさんじん)。武士。





山東京伝

別に、世の中ひっくり返そうと
思ってる訳でもねェ。
ただ好き勝手に絵描いたり、
本書いたりしてるだけじゃねェか。



浮世絵師、戯作者。黄表紙で評判を得る。
重三の弟分。通称、伝蔵。




鉄蔵

浮世絵だとか黄表紙なんてもんがなァ、この世から消えたって
誰も困りゃしねえんだ!!
ちきしょう!!



彫師。後の葛飾北斎。




与七・左七

そんな気ィつかわんといてよ、
なんでも勝手にやりますさかい


戯作者・山東京伝に憧れて大阪からやって来た男。後の十返舎一九(与七)

 

勝手にやられちゃ困るんですよ!!


重三の下で戯作者を目指す。後の滝沢馬琴(左七)



初鹿野

ならん!!
そんなことはこの俺が絶対にさせん



武士、後に北町奉行となる





西村屋与八郎

どうせ吉原門前の土産屋に
錦絵なんか出せはしませんよ



大手黄表紙・浮世絵版元。





お菊

女はね、好きな人のそばにいることができれば、それでいいのよ


京伝の妻。




玉虫

ねぇ勇さん、つまんない


吉原の遊女。艶めかしく気位が高い。
若き日の勇助が描く美人画のモデルとなる。



舟虫

あたしになんか文句があんのかい


吉原の遊女。




お千代

おかみさんはまだ若いんだから
気をつけなくちゃ




妾宅でお篠に仕える女中